2010-05-05

落語に見るシュルレアリスム 〜聴かずに死ねるか!《第十六話》〜

柳家小三治
“粗忽長屋”

例によって、長めのマクラ。
面白いです。

「今日の噺は15分で終わっちゃうから、
もうちょっとマクラ喋ろうか」
といった感じで全然関係無い話。
それにしても、
小三治師匠の趣味や興味の幅・深さが凄いです。

と、唐突に「世の中には粗忽者というのがおりまして・・・」と
いきなり噺に入って、笑いを誘いつつ展開していきます。

落語にはシュールなネタが結構多いんですが、
これは凄かった。

短くやっちまってるんですが、
随所にちりばめられた、登場人物のシュールな会話。
テンポよく展開されるので、
シュールな二人に振り回される自身番も、
シュールに見えてきます。

小三治師匠は、フツーのところをすっ飛ばして、
シュールな部分だけを凝縮して演ってるんですね。
それで、噺が通ってしまい、
かつ、シュールさがドッと前面に出てくるんで、
凄っ! となるんでしょうね。

八と熊の関係や背景なんて、
別に無くっても全然OKなんだな、と思いましたよ。
お、落語に見る引き算、か。

シュルレアリスムは文学か、お笑いか。
少なくとも、抱腹絶倒の一席。
後になって、鳥肌もんの一席、でした。



「そこで酒ぇ呑んでるのは、俺だよ。
んじゃぁ、酒に呑まれてんのは誰だい・・・」