2009-06-30

ちょっとイイマクラ 〜聴かずに死ねるか!《第七話》〜

柳家小三治
“フランク永井”

って、いやいや噺は“宗論”だったのですが、
マクラがね・・・
うーん、賛否両論でしょうが、
こういうのもいいなぁ、と思いましたよ。
ま、
歌っちゃうんですよ、小三治が“フランク永井”を。
サラッと、でも旨い。
歌が上手いというよりは、雰囲気かなぁ。
で、旨いと。

どこぞの川○○柳みたいに、声張り上げて、
軍歌とか古〜いラテンばっかりで、
しかも、毎回全く同じなんて、
もう見たくないっつーの(それでもファンだぞ! っつー方、失礼)。
ちゃんと落語やればそれなりなんだと思うんだけどね、真打ちなんだから。

小三治のは、何と言うか、
歌ってても“話芸”なんですよ。
というのと・・・
小三治がマクラで歌っちゃうって、あんまりないよね、たぶん。
『公園の手品師』、良かったです。
ちょこっと歌詞の解説やエピソードなんかも織り交ぜて・・・

あ、“宗論”も流石、でしたよ・・・
でもなんとなく、マクラが落語を喰っちゃったみたいな、
不思議だけどイイ感じでした。




「あたしゃ酒呑み、酔ったピエロ」ってか・・・

2009-06-29

月の刃


っていう曲がある。

1991年にPANTAがジュリーに書いた曲なんだけど、
PANTAと菊池琢巳のユニット“響”のライブでセルフカバーも聞ける。

ジュリーのライブDVD『ジュリーマニア』でも見れる(聴ける)。
アルバムは『パノラマ』。廃盤なのが惜しい。
すげーいい曲なんだけど、
“響”のライブバージョンがまたイイ!

PANTAらしい詞で、
あー、遠ーくへ連れていってくれるなぁ、という感じ。
勿論、ジュリーのボーカルにもバッチリなんだけど、
“響”のアコースティックバージョンに
PANTAのボーカルがのっかってるのも、
イイ!

ジュリーとPANTA、両方聴いた事ある方います?
イイっすよ。

ま、今回は、それだけなんだけど・・・

ラッキーヱビス、キター


一部では都市伝説と言われていたラッキーヱビス。

戎様の右肩の魚籠に鯛が一尾入っていて、
通常は左手に抱えた鯛のみのところ、
計二尾の鯛が描かれたラベルが存在するらしい。
これは数百本に一本の割合で存在するといわれているモノ。
数百本って言われても200本と900本じゃ、
エラい違いだし・・・

一度、とある割烹で中瓶が飾ってあるのを見た事があった。
でも、飲食店に置いてあるわけだし、プロモーション用かな・・・
なんて思ってたのだが、ウチに来ました(小瓶だけど)!

ウチ呑み用のビールは7、8年前から
小瓶をケース買いしてるんだけど、
全然コナカッたので、
やっぱり都市伝説かと思ってたところでした。

うーん、いいでしょう、コレ。

まぁ、全く興味がない人には何の価値も無いんだけど、
興味がある人にはたまらないアイテム。

ちなみに・・・
検索してみたら、ネットオークションでは
一本あたり数千円で取引されているようです。

まぁ、こーいうモンは、
お金に換算して価値を見いだすもんじゃ無いと思うんだけどなぁ。

以上、ささやかな自慢でした・・・

2009-06-28

噺に見るオーラの泉 〜聴かずに死ねるか!《第六話》〜

柳家小三治
“厩火事”

昔、道徳の授業っつーモンがあって、
どこやらのエラ〜イお方の幼少の頃の正直話や、
どこやらのエラ〜イお方の大人になってからの徳のある話なんぞを
聞かされたもんですね。

でありますが・・・
そんなありがたいお話も、江戸のぐーたら亭主にかかっちゃぁ、
がくっとオチちゃいます。
ま、この方が面白いんだけどね。

で、何故“オーラの泉”かって・・・
噺じゃなくて、高座のこと。
一部の通人に言わせれば
「小三治はもうピークを過ぎたよ」なんて
聞こえてくる時もありますが、
まだまだどうして、と感じちゃいました。

新宿は末廣亭で聴いたんですが、
小三治師匠登場の瞬間
「あれ、末廣亭の高座ってこんなに狭かったかな」
と感じてしまいました。
まぁ、もともと狭い高座なんですが、
その時は人ひとり座ったら一杯といった感じでした。
そんだけ、あの華奢な小三治師匠がデカく見えたんでしょう。
どう見ても歌武蔵じゃぁなかったですから。

これって、小三治師匠のオーラを感じたからかなと、
今でも思ってます。
まさか、あの古い箱に、そんな仕掛けは無理でしょうから。




「呑み過ぎて態度ばかりが、デカくなんないようにね」

呑まずに死ねるか!《三本目》


丹沢山 本醸造 魚々っと

またしても“本醸造”。
これ『ぎょぎょっと』と読む。
その名の通り魚に合う、とっても。

ま、ネーミングについては色々と意見もあるだろうが、
それはさておき・・・

この蔵へは、縁あって、おじゃましたことがあり、
その時に呑ませていただいた“醪”が凄かった。

おじゃました際のメンバーは皆“プロ”の方々で、
酒販店さんや飲食店の大将たち。
その面々が“醪”をいただいて「どんな純米酒になるんだろう!」と
異口同音に感動してた。
自分も、素人なりに「かなり旨い酒になるんだろうな・・・」と。
“醪”の段階で、きめ細やかでバランスがいいなぁという感じだった。

ま、“醪”は蔵に行かないと呑めないので、
「そんなの自慢されても・・・」なんて言われると
ゴメンナサイなんだが・・・
でも、旨かった!

それで、この“醪”がどうなったかというと、
この『魚々っと』に。
おー、そんな凄い“醪”が本醸造っすかー。
皆、感心しちゃってた。
たぶん「あの“醪”が本醸造じゃもったいないなぁ」
というニュアンスも含めての、感心だったんじゃないかと思う。

しかし、
蔵を案内してくださった専務曰く
「やるべき事を普通にキチンとやってれば、
あれくらいのレベルはあたりまえですよ」と。

どんな世界でも、
“やるべき事を普通にキチンとやり続ける”事って大変なんだけど、
サラッと言ってた専務、凄い。
それをやり続けてる蔵人、凄い。

丹沢山って、当然純米も旨いんだけど、
本醸造で、このレベルの仕事してたら、当たり前か。
なんだか、“淡々”とした凄さを味わった。



酒のうまさほろほろこぼれ

さて、干物でも焼くかな・・・

2009-06-27

噺に見る経済学 〜聴かずに死ねるか!《第五話》〜

立川志の輔
“千両みかん”

モノの価値というのは、人によって様々ですな。

お題の通り、みかんが千両もするんです、一つで。
でも、欲しい人は欲しくてたまらない。

どうしてもみかんが頭から離れない若旦那の様が、
見事に演じられてます。
みかん問屋が、なぜみかん一つが千両もするのかを
滔々と語るシーンに引き込まれます。

理解出来ない価値観のなかで、
右往左往する番頭さんが目の前を走って行くようです。
そして・・・
自分の価値観が崩壊した番頭さんがオチへ向かって走ります。

しかし・・・
欲しい人がいるからモノの価値は上がるんですがねぇ。
ま、そこが噺ならでは、でしょう。

あ、頭脳警察のデビューアルバム(勿論ビニール版)は、
一部では200万〜で取引されているらしい・・・

あるお方曰く・・・
経済学の講義の枕で“千両みかん”を
学生に話してきかせる教授がいたら、
その教授は優秀な教授だよなぁ、と。

“千両原油”なんてならないことを願います。




「今夜の一杯は、いかほどかね・・・」

2009-06-25

この“間”は貫禄? 〜聴かずに死ねるか!《第四話》〜

またくらべちゃいます(こればっかり)。 

柳家花縁と三遊亭金馬。 
んで、 
“長短”。 

あきらかにアレンジが違います。 

金馬は、気の長い方を関西人にしたててます。 
まぁ、どんだけ江戸っ子が気が短いんだ、っつーことでしょう。 

金馬は、“間”で聴かせます、気の長い様を。 
花縁は、気の長い様を、何か余計な事をさせて表します。 

金馬は、最後に気の長い方が言いたい事を 
着物のことやなんかにかこつけて、聴き手ににおわせます。 
もう、ここで気づいた聴き手たちは肩が震えちゃいます。 
花縁は、ストレートに下げに向かって進んでいきます。 

んー、どちらも芸なんだけど、 
金馬の方が気が長いのか? 
いやいや、貫禄か? 
などなど・・・ 

個人的には、この話、 
“間”で聴かせてもらいたいっすね。 
んで、気の長い方が、思わず最後に色々語ってしまう。 
ってのが良かったなぁ。 

にしても・・・ 
またしても、金馬師匠をナマで見る事ができて、良かったなぁ。 
いつ見れなくなっても不思議じゃないもんね(ヲイヲイ・・・)。 


ま、そうはいっても 
「今日も冷やでいいんだよ」

2009-06-24

呑まずに死ねるか!《二本目》


志太泉 生貯蔵酒 一回火入(本醸造)

個人的に清酒は食中が好きだ。
なので、これも当然食中派へお薦め。
多少重たいアテでも、キッチリ受け止めてくれる。
室温〜ぬる燗がイイ。

昨今、“日本酒は純米に限る”なんて言われて久しい。
本醸造は“アル添”と言われ、悪いイメージが横行している。

でもそれは、ハッキリ言って“純米盲信”と言えるのではないか。
中には・・・
「本醸造はメチルアルコールの匂いがする」なんて言い出す輩までいる。

いったい、どんな悪い酒のんでんだ! と突っ込みたくなる。
あるいは、異常なまでにものすごく鼻がイイのか!?
っつても本醸造用のアルコールは勿論メチルじゃないけど・・・

“純米盲信”どっかいけ!

純米も本醸造も、旨いものは旨い。
ちゃんと呑んで判断したいとこだ。
純米だってマズいのはマズいんだし。

なぜか憂歌団がかかってるけど、
ま・・・



食べる物はあつて酔ふ物もあって徳利の雨・・・

たぶん、今日も酔う・・・

アツいぜbaby 〜聴かずに死ねるか!《第三話》〜

ここらでアツいのをひとつ・・・

三遊亭歌武蔵、ご本人曰く「本名、松井秀喜」。
似てます。

んで、“強情灸”。
この噺家さんのための噺って思ってしまいました。
ま、ほかの噺家さんのを聴いた事はないんですが・・・
(志ん生のものなど、結構CDやらなんやら出てるようではありますが)

まぁ、なんつったって、
でかい身体を使って、汗ふりしぼって、
江戸っ子のやせがまんを演じます。
聴いてるこっちも熱くなってきます。
寄席で聴いたら、なおさらです。

おさえた芸、引き算の上に成り立つ芸もいいけど、
本人のあらゆる持ち味を、
くどいぐらいに出す芸ってのもアリなんだなぁ、と。
培ってきたもの+持って生まれたもので個性を出す。
そうやって差別化していく。

そんな噺にも、引き込まれますね。

おっと、
「でもね、熱くねぇったって、そんなにチンチンにしちゃぁ、
酒の味が分かんなくなっちゃうよ」

2009-06-19

呑まずに死ねるか! 《一本目》


東北泉 八反錦純米

食中酒、No.1でしょう。
個人的には。
味わい・キレ・深み・のどごし・バランス・各種肴との相性・・・
どれをとっても素敵。
そこに“八反錦”という酒米の個性がバランス良くとけ込んでます。

特に、“八反錦”ってイイ。
これで醸すのは結構難しいらしい。
他の蔵でも勿論、使ってるところはあるんだけど、
そういう蔵の場合、純米酒は間違いなく“八反錦”がイイ。
(例えば、志太泉とか)
ま、ブラインドテイストで酒米が分かるほどの舌じゃないんだけど、
呑み比べてみると、たいていは“八反錦”を選んじゃってる。

東北泉を醸してる高橋酒造場という蔵は、
かつて佐々木勝雄という南部杜氏が仕切ってたんだけど
後を次いだ神 理さんが、その味を守ってます。
この蔵の酒は旨いぞ、マジで。
特に食中派にはお薦め。

ある事情があって、
ある席で、本来は持ち込みNGだったのに
頼み込んで1ケース持ち込んだぐらい、思い入れもある酒。



うしろ姿の千鳥でゆくか・・・

今日も酔ってます・・・

2009-06-18

誕生日の夜はこうして溶けていったのだった・・・ 〜viva! 70's&80's〜

たわいもない話ですが・・・(のわりには長い日記かも)

日曜の夜の事。
とあるbarで一人酒(ま、誕生日の夜に一人酒って
いかがなものかというツッコミはご勘弁を)。
モルトの品揃えが渋く、しかもリーズナブルな店。

客は3人。
DJスタッフと“ハスキーボイス女性ボーカルがいかに魅力的か”という話で
盛り上がっていたら、
DJスタッフが2000枚超はあろうかというアナログ盤のなかから
Stevie Nicksを
Marantzの真空管アンプに
Tannoyのスピーカー(Rectangular York)、
アナログプレーヤーはGarrard#301&PioneerP3aという
素晴らしい機材でかけてくれた。
曲は・・・
Edge of Seventeen、
Stand Backなど。

隣の客はどう見ても20代前半。
でも彼はしきりに感心して、Stevie Nicksをメモして帰っていった。

ここまでは、単なるプロローグ。

もう一人の客は、他のスタッフとの話に夢中で音には無関心。
で、普段はリクエストには、よっぽどじゃないと応じてくれないところを
「誕生日だし」ということで、70's&80'sタイムがスタート。
(他に客は居ないに等しい状況だし、ま、いいか、ってトコだったか)

Stevie Nicksからの流れで、
Buckingham Nicks、
Fleetwood Macに始まり、
あとはもうグチャグチャで・・・
Madonna、
Cyndi Lauper、
The Power Station、
Van Halen、
David Lee Roth、
John Cougar Mellencamp、
Dexys Midnight Runners、
Culture Club、
The Police、
Tears for Fears、
The Pretenders、
Michael Jackson、
などなど・・・
しかも1曲か2曲でアナログ盤を(次にかけるモノを棚から探しつつ)、
替えていかなければならないので、
DJスタッフは大変・・・
で、ラストは
Led Zeppelinでした。

もう既に客は自分だけ・・・

あー、DJさん、お疲れさまでした。
(疲れたんだろうな。だって帰り際にはTom Waitsのゆったり目の曲になってた)

などと思いつつ、
古〜いモノやマイナーなモノも大好きで、よく聴くけど、
やっぱり自分は“ベストヒットUSA世代”なのだなと、
強く認識した夜でした。

ま、こんな誕生日の夜も悪くないか・・・(強がり)

余談:この店のアンプは普段はMcIntosh。勿論真空管(現在修理中とのこと)。
  でも個人的には低音はMarantzの方が好きかも・・・

達人による匠の表現 〜聴かずに死ねるか!《第二話》〜

まぁ、そういったわけで、相変わらず“聴く”としておきましょう。

で、
“ねずみ”

いくつかある左甚五郎噺の中のひとつ。
例によってストーリーは検索すればいくらでもでてきます。

桂歌丸と林家木久蔵(二代目)
また比べちゃいます。

んー、親子襲名披露興業ということで、
大御所たちが見守る中だったからか、
聴いてるこっちが肩凝ったゾ、木久蔵(二代目)。

かたや、大大大ベテラン歌丸。
あくまでも淡々としている甚五郎の描写に、
凄みを感じました。

芸の深みっつーもんでしょうか。
素人の自分にも、はっきりと違いが感じられて、
まぁ、面白かったし、
やはり、これから深みを増していくんだろうなァ木久蔵(二代目)。
といったところか。

でも、なんなんでしょうね。
談志が若い頃騒がれていたような、
そんな逸材はいないんでしょうかね、よく分かんないけど。
立川流でいえば、志の輔は入門が遅かったから、
若くして云々とは言われなかったと思うが、
談志が、なんかのTV番組で「あいつぁ凄いよ」って言ってましたね。

おっと、話はそれたが、
甚五郎噺は芸の達人が匠を表現する。
そんな魅力があります。

ま、
「ありゃぁ、虎ですか。あたしゃぁ大虎ですな」